「俺を殺す気 か」 「んなことしねぇよ」 後ろから不意に絡んだ腕に、知盛は、くすりと笑った。 絡めた腕の主は、はぁと一つため息をつく。 「このまま、締めてもかまわんが」 「お前、何そうやって戦闘的なわけ?」 「月 雲から 出たな」 「質問には答えてはくれねぇのかよ」 「…今のが りゆう だか」 「俺には難しくてわからねぇ よ」 「有川。いつまでそうしてる気 なんだ」 「雲に月が隠れるまで…かな」 満月が必然欠けるように、満たされる筈の気持ちも 欠ける 欠けたものを取り戻せる保証の無い世界で 幾分の隙があらば 「雲 隠れねぇといいな」 「明日は晴れ だな」 ずっと、傍らで、何事もなく全てを守れないなら 誰かに、もって行かれてしまう命なら いっそ この手を そうしては、上手く見つからない答えを葬った。 知る過去をこの手で、変える事が出来れば この手で 「有川 いい月だな」 「なんだよ。離せとかいわねぇの?」 「ああ いい月だ」